ますねた帳

数学の小ネタ、通称「ますねた」を公開します。

001-はじめまして(オイラーの等式)

1 御挨拶

初めまして(^^)

この度はブログますねた帳を開設いたしました、ミゾショーと申します。

私はとても数学が大好きで、子どもの頃から数字や図形と触れ合ってきました。 中学・高校時代では数学者になることを夢見て、そして数学者になるべくして九州大学理学部数学科に入学。 同大学の大学院で修士課程まで数学の勉強・研究をやってきましたが、 訳あって数学者の道は断念し、企業就職の道を選びました。

現在IT関係の仕事をしている傍ら数学の勉強は今なおも続けており、 数学は私にとってライフワークなのであります。

また、数学の話を周りの人にするのも好きでありまして、そのため小ネタを日々蓄えるようにしておりまして・・・ その数学の小ネタこそが、ますねたでございます。

全国のみなさんに、「数学の世界は楽しい世界」ということを知っていただきたい、 そのため様々なますねたを全国に配信したい、 そんな思いのもと、ついに本ブログの開設に至りました。 まだまだブログを始めたばかりで拙い表現もあるかとは思いますが、 ご愛読いただければ幸甚です。よろしくお願いします(^o^)

2 数学史上最も美しいよ

さて、記念すべき最初のますねたを何にしようか迷ったところではありますが、 やはりこの数式について、語りたい・・・

{ \displaystyle
e^{\pi i} + 1 = 0
}

これはオイラーの等式と呼ばれる、数学史上最も美しいと言われている等式であります。 全く別々のルーツで誕生した、

円周率の

{ \displaystyle
\pi \ ( = 3.14159...)
}

自然対数の底

{ \displaystyle
e \ ( = 2.71828...)
}

虚数単位の

{ \displaystyle
i \ ( i^{2} = -1 \ を満たす定数)
}

足し算の基準となる

{ \displaystyle
0
}

掛け算の基準となる

{ \displaystyle
1
}

これら5つの数学上重要な定数たちが、足し算、掛け算、累乗という基本の演算の組み合わせによって シンプルに(←これ、重要ですよ)表されているということは、 とても神秘的な事実なのではないでしょうか。

そもそも円周率は、 「円の直径と周長の比」 として幾何学的に定義されたものでして、 どんな大きさの円であろうとその比が一定であることは紀元前の時点ですでに知られています。

それから円周率を主に用いる関数として三角関数というものが誕生し、これが

{ \displaystyle
\sin \pi = 0 \\
\cos \pi = -1
}

というように、円周率が整数に変換されるシステムとなるのです。

時を経て17世紀頃、イギリスの数学者ネイピアらによって指数・対数の研究が盛んになり、 微分してもその姿を変えない指数関数」である自然指数関数

{ \displaystyle
e^{x} = 1 + \frac{1}{1!} x + \frac{1}{2!} x^{2} + \frac{1}{3!} x^{3} + ...
}

が誕生します。ちなみにこの右辺の表記はマクローリン展開と呼ばれるもので、 簡単に言えば、多項式で表せない関数を無限に続く多項式で表したらこうなりますよ、というような表現であります。 三角関数のサイン、コサインもマクローリン展開が定義でき、

{ \displaystyle
\sin x = \frac{1}{1!} x - \frac{1}{3!} x^{3} + \frac{1}{5!} x^{5} + ...
}

{ \displaystyle
\cos x = 1 - \frac{1}{2!} x^{2} + \frac{1}{4!} x^{4} - \frac{1}{6!} x^{6} + ...
}

という表し方になります。xに円周率を代入するとピタリ0や-1になるということですから実に不思議。

さらにこの自然指数関数は複素数の世界では

{ \displaystyle
e^{z} = 1 + \frac{1}{1!} z + \frac{1}{2!} z^{2} + \frac{1}{3!} z^{3} + ...\
(zは複素数)
}

マクローリン展開によって定義がなされるのです(本当は解析接続という複雑な手続きによるものですがややこしいので割愛)。

{ \displaystyle
z = i \theta \ (\thetaは実数)
}

としてあげると、マクローリン展開の奇数次の項には虚数単位iが現れ、 かたや偶数次の項には虚数単位iが現れず、このような形が出来上がります。

{ \displaystyle
e^{i \theta} =
( \ 1 - \frac{1}{2!} \theta^{2} + \frac{1}{4!} \theta^{4} - \frac{1}{6!} \theta^{6} + ... \ )
+ i( \ \frac{1}{1!} \theta - \frac{1}{3!} \theta^{3} + \frac{1}{5!} \theta^{5} + ... \ )
}

ご覧ください。上記数式の括弧の中身、どこかで見た形ですよね。そう、これぞサインとコサインのマクローリン展開です。つまり、

{ \displaystyle
e^{i \theta} =
\cos \theta + i \sin \theta
}

が成り立ちます。これはオイラーの公式です。 この公式、複素数の世界では指数関数と三角関数が密接に関係しているということを示唆しており、 この時点で私は十分驚くべきものだと思います。さらにこの公式に

{ \displaystyle
\theta = \pi
}

を代入すると、

{ \displaystyle
e^{\pi i} =
-1
}

が得られ、さらに-1を左辺に移項することにより、

{ \displaystyle
e^{\pi i} + 1 = 0
}

という、5つの定数たちが綺麗にコラボした等式が出来上がるのです。

この美しい等式が誕生するに至るまで、三角関数、自然指数関数、マクローリン展開複素数・・・ といったさまざまな概念が必要となり、まさに先人たちが長きにわたり幅広い分野を研究を続けた末誕生した賜物なのです。 考えれば考えるほど、奥深い等式ですね!

3 締め

このように、色々なますねたを全国に広めていきたいです。そのため色んな分野のますねたを提供してまいります。 また、記事に対してご意見・指摘・感想等ございましたら、遠慮なくコメント下さい! 今後とも、よろしくお願いします(^_^)